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人生やビジネスに活かす学びの時間を過ごす【大日本報徳社】

小学校などの校門や校庭の隅にひっそりとたたずんでいる銅像といえば「二宮金次郎像」
小さい頃一度は目にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
この記事では、そんな「二宮金次郎像」にまつわるエピソードを紹介していきます。

大講堂前の金次郎像

そもそも二宮金次郎って?
二宮金次郎は、江戸時代後期である1787年(天明7年)に相模国足柄上郡栢山村(神奈川県小田原市)で生まれました。
比較的裕福であった金次郎の家でしたが、金次郎が5歳の時、暴風雨による影響で川の堤の決壊で家や畑が流され、家計は一気に苦しくなります。そして、14歳の時に父を、16歳の時に母を病で亡くします。
伯父にあずけられた金次郎は、別れて暮らす幼い二人の弟のため薪や草履を売り、朝から晩まで働きました。
そして、働くかたわらたくさんの書物を読み、勉強をし続け二宮家を再興しました。

本を読み、薪を背負う


子供たちの理想の姿
「大人」の偉人の像が多い中、国内でも数少ない「子供」の像がなぜ小中学校に建てられたのか?
それは、”家の手伝いをしながら学びを怠らない金次郎の姿は、子供たちの理想の姿である。”とされたからです。
金次郎の姿に共感した小中学校のPTAや地域の住民がお金を持ち寄り、地域の子供たちに金次郎のようになって欲しいという思いが集まり、全国各地の小中学校で設置されていきました。
偉人の像が建てられる時、国や行政機関、権威ある人たちの援助や補助で建てられることが多いのですが、「金次郎像」は、市井(しせい)の人々の気持ちで建てられた珍しい像なのです。

二宮尊徳回村像

金次郎の功績
子供の理想の姿とされた金次郎ですが、なぜここまで支持されたのか?
それは、大人になった金次郎の功績に理由があります。
金次郎は、1808年(文化5年)頃、小田原藩で1300石取の家老をしていた服部家の家政の立て直しを任されます。
そして、5年で再建を行うことを約束し、見事1814年(文化11年)に服部家の財務を整理して千両の負債を償却し、余剰金300両を贈り、見事成功させました。さらに、自らは再建の報酬を1銭も受け取らなかったのです。
金次郎が行った再建の評判は瞬く間に広まり、生涯、全国各地の困窮した600以上もの農村の復興を行いました。
農家の長男として生まれた金次郎ですが、武士の位を授けられ「二宮尊徳」と名乗ります。

報徳訓

報徳思想
金次郎は、小さい頃から貪り読んだ「論語」や「中庸」を始めとする多くの書物からの「学び」を知識にとどめず、その身をもって日々の生活や仕事、農村の再建を通じて「実践」しました。
その実践の中で、培った知恵やノウハウを体系化したものが「報徳思想」と言われています。
「人間の欲を認めながらも、周りとたくみに調和させ、心もお金をも同時に豊かに育むという倫理思想」は、農村救済の枠を越え、多くの経済人に影響を与えたと言われています。大河ドラマにもなった「渋沢栄一」、安田財閥・みずほ銀行の創業者「安田善次郎」、トヨタ自動車の礎を築いた「豊田佐吉」、パナソニックの創業者「松下幸之助」など、日本経済の発展に寄与した多くの経済人に影響を与えてきたと言われています。
また、「信用金庫」もこの「報徳思想」の影響を強く受けています。
二宮尊徳の弟子であった「岡田良一郎」が「信用金庫」の前身となる「信用組合」を静岡県掛川市で日本で最初に作りました。

珍しい”大人になった金次郎像”

中庭の二宮先生村民表彰の像

そんな、多くの経済人に影響を与えた二宮尊徳ですが、
大人になった金次郎像を見たことのある人は少ないのではないでしょうか?
そんな金次郎像が「大日本報徳社」には、あります。

大日本報徳社
大日本報徳社正門(経済門・道徳門)

「大日本報徳社」は静岡県掛川市の中心部、掛川城に隣接する歴史文化ゾーンに位置しています。
敷地内には6つの文化財建造物が立ち並んでいます。

大講堂

中でも1903年(明治36年)に建てられた「大講堂」は、日本で最も古い木造公会堂の一つで、和洋折衷の近代和風建築物です。


大講堂内                       大講堂内演題

大講堂内の81畳の大広間正面の演台の左右に子供の「金次郎像」と大人の「尊徳像」が並び
中央に報徳思想を108字にまとめた「報徳訓」が飾られています。
講堂内では、約15分の報徳に関する説明を受けることができ、
希望すれば職員による、説明を受けることができます。

多くの経済人に影響を与えた「二宮尊徳」。
貧しさの中で働き、勤勉に励んだ金次郎が、多くの困窮した農村の復興を成し遂げる中で導き出した実践哲学は、現代社会を生きていくうえで、沢山のヒントがあるはずです。
「大日本報徳社」で、人生やビジネスに活かす学びの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?


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島田掛川信用金庫職員

「二宮金次郎」が体系化した「報徳思想」は、現代のSDGsにも通じる理念として再度注目を浴び始めているようです。最近では、若い経営者の方も報徳社を訪れ自らのビジネスに活かしているようです。

公益社団法人 大日本報徳社
住所 436-0079 静岡県掛川市掛川1176番地
拝観時間 AM 9:00~16:00
(12月29日~1月4日まで休館)
拝観料 個人 300円(高校生までは無料)
ホームページ https://wwhttps://www.houtokusya.com/

※掲載情報は公開日時の時点での内容です。最新情報は直接お問い合わせください。

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